「何かご要望はありませんか。」今から約55年前、おぎのや会長である故・高見澤みねじは、自らホームに立ち、旅行者ひとりひとりの駅弁へのご意見・想いを聞いて回りました。そこで、彼女はひとつの答えにたどりついたのです。「あたたかくて、家庭的な楽しいお弁当が求められている」と。お客様と向き合うその真摯な姿勢が、新たな駅弁開発のきっかけとなり、1958年、益子焼の土釜に入った駅弁、「峠の釜めし」が誕生したのです。
1950年代、あたたかいまま食べられる「峠の釜めし」は、常識をくつがえす画期的な駅弁でした。その後、雑誌「文藝春秋」に掲載され、爆発的に売れるようになりました。さらに1962年、自動車旅行の増加にあわせて「峠の釜めし・ドライブイン(現荻野屋横川店)」を開設。今でも各店にバスが到着・出発する際、深々とお辞儀をする目迎・目送が行われ、店内で旅の疲れを癒すやすらぎと味わい深い思い出を提供しています。